歯科技工士の卵が、歯科医師に聞く! 逆引きお仕事インタビュー

「頼れるサポート役」から「パートナー」へ。求められる技工士像とその未来

実際のところ、先生方にとって歯科技工士とはどのような存在ですか?

学生Aさん

今日はよろしくお願いします。さっそくですが、歯科医師の先生にとって、歯科技工士とはどのような存在なのでしょうか。「先生からの指示を受けて作る」というイメージが強くて……。

B先生

単なる「発注先」だなんて、まったく思っていませんよ。むしろ、治療の最後のピースを埋めてくれる「最大のパートナー」ですね。私たちがいくら歯を治療して綺麗に整えても、そこにピタッと収まる補綴物(ほてつぶつ)がなければ、患者さんが心から喜んだり、自信を持って笑顔を取り戻したりすることはできません。

先生が「この技術はすごい!」と感動するのはどんな時ですか?

学生Aさん

ありがとうございます。では、現場で「最高の技術だな」と感動するのはどんな時でしょうか?

B先生

やはり、患者さんのお口に合わせた時、0.01mmの狂いもなく「スッ」と吸い込まれるように収まった時ですね。あの精度の高さには毎回感動します。

学生Aさん

学校でも適合(フィット感)を重要事項として学びます。ちなみに僕たちの方から、例えば補綴物(ほてつぶつ)の素材の相談などはしても良いのでしょうか?

B先生

もちろんです!「患者さんのためにこうしませんか?」と相談してくれる技工士さんは、本当に信頼できます。

歯科技工士が不足している聞きますが、AI化も含めて将来性どう思われますか?

学生Aさん

頼られる存在になれるよう頑張ります!最後に、歯科技工士のなり手不足や、AIに仕事を取られてしまうのではという不安があるのですが、将来性についてどうお考えですか?

B先生

なり手不足だからこそ、確かな技術を持った技工士さんは「どこに行っても引く手あまた」のチャンスだと言えます。将来独立して自分の技工所を開業できるのも魅力ですよね。また、AIやロボットがどれだけ進化しても、それを操作するのは技工士ですし、一人ひとり違うお口に合わせた最終的な微調整は、技工士の手と目にしかできません。だから決してなくなることはない、将来有望な職業ですよ。

補綴ほてつぶつ:壊れた歯や、失った歯を元のように噛めるようにする人工の歯のこと

監修:九州歯科技工専門学校 堀 慎次 先生

医療系クリエイター。デジタル時代のモノづくり

私たちは患者さんと接することは少ないと思いますが、仕事のやりがい感じられるものでしょうか?

学生Cさん

私は細かいモノづくりが好きでこの職業を目指したのですが、基本的には技工室での作業が中心ですよね。自分が手掛けたものがどのようにセットされているのか、患者さんの反応がどうしても気になってしまうのですが…。

D先生

確かに患者さんと接する機会は限られますが、私はいつも患者さんに、「これは歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士がワンチームで作り上げたあなただけのオーダーメイドですよ」とお伝えしているんです。

学生Cさん

直接お会いできなくても、私たちの仕事がチーム医療として「患者さんの笑顔」に繋がっているんですね!

D先生

その通りです。新しい歯が入って鏡を見た瞬間に、嬉しさのあまり涙を流す患者さんもいらっしゃいます。その笑顔や「ありがとう」の言葉は、我々チーム全員で患者さんの幸せを実現できた証です。誰か一人の力ではなく、それぞれの専門性が結集して初めて、患者さんに感動を届けることができる。私たちは「歯科」という一つのチームで、その感動や喜びを分かち合っているんですよ。

先生から見て、歯科技工士は「医療職」ですか?「アーティスト」ですか?

学生Cさん

それを聞いて安心しました!次の質問なのですが、先生から見て、歯科技工士とはどんな職業ですか?

D先生

実は両方のイメージですね!命と健康に関わる立派な「医療職」でありながら、同時に「アーティスト」でもあります。それに、今はパソコン上で歯の形を3Dデザインして削り出す時代です。地味どころか、「医療界の最先端を行くデンタル・デザイナー」という言葉がぴったりだと思います。

手先の器用さセンスに自信がなくても、技工士になれますか?

学生Cさん

デンタル・デザイナー!すごくカッコいいですね。でも、実は図工の成績が特別良かったわけではなくて…。センスや器用さは後からでも磨けるものですか?

D先生

もちろんです。最初から「ゴッドハンド」を持っている人なんていませんよ。学校で基礎を学び、最新のデジタル機器を使いこなすことで、技術は必ず身につきます。

学生Cさん

少しホッとしました。

D先生

機械化が進むこれからの時代、最後に一番大切なのは「この患者さんを笑顔にしたい」という優しい感性です。少し不器用でも、とことんこだわれる熱中力があれば、絶対に素晴らしい歯科技工士になれますよ。一緒に働ける日を楽しみにしています!

監修:九州歯科技工専門学校 堀 慎次 先生